無機塗料と有機塗料の性能の違いを知ろう!
塗料の種類の大多数を占めているのは「有機塗料」と呼ばれるもので、「無機塗料」はまだ種類が少なく聞きなれないということもあるかもしれません。
では、無機塗料と有機塗料の1番の違いは何なのでしょうか?
それは、それぞれに使用されている「樹脂」にあります。
有機塗料は、石油などの有機物(炭素を含むもの)から成る樹脂を使用した塗料のことを指し、一般的な塗料のほとんどがこれに当たります。金額も安いものから高いものまで幅広い種類の塗料が存在します。
一方で、無機塗料は鉱物などの自然物(無機物:炭素を含まないもの)を主成分とした樹脂を使用しており、高い耐候性・低汚染性を備えています。耐候性は約15年で、塗装することで紫外線を浴びても劣化しにくい耐候性の高い塗膜を形成することができます。
樹脂・・・塗膜を作る主成分で塗膜の基本性能は樹脂によって左右される。
無機塗料と有機塗料はどっちがいいの?
では、無機塗料と有機塗料はどちらが優れているのか?それぞれのメリットとデメリットを見ていきましょう。
【無機塗料と有機塗料の比較】
メリット | デメリット | |
---|---|---|
無機塗料 | ・耐候性が高い・不燃性がある
・カビや苔が発生しにくい |
・他の塗料より価格が高い・ひび割れしやすい |
有機塗料 | ・ひび割れに強い・価格帯が幅広い | ・紫外線の影響を受けやすい・耐火性が低い |
【無機塗料】のメリットとデメリット
<無機塗料のメリット>
①耐候性が高い
無機塗料のメリットとして、15年以上の高い耐候性が挙げられます。無機成分を主としているため、雨や紫外線などにあまり影響されないため、外壁表面を長期間に渡って保護することができます。
②不燃性がある
主成分が炭素を含まない無機成分で構成されているため、有機塗料と比較すると火事の際などにも燃えづらいという利点があります。万が一の隣家の火事の際などにも、この不燃性によって二次災害の確率を低くすることが期待できます。
③カビ・苔が発生しにくい
カビ・苔の栄養分である有機物の含有量が少ないため、それらが発生しにくいという利点があります。
苔は、単に美観を損なうだけではありません。苔の根から発生する「根酸」という酸性物質により、本来アルカリ性であるスレート瓦が酸化することで素材自体の耐候性を低下させる恐れがあります。
<無機塗料のデメリット>
①他の塗料より価格が高い
無機塗料は、塗料の中でも耐候性やの面で機能性が高く、施工の際は値段が高くなります。
②ひび割れしやすい
無機塗料は主成分が無機物で構成されているため、有機塗料と比較すると塗膜が硬いという特徴があります。
建物の外壁表面にひびが入った場合、一緒に無機塗料で形成された塗膜もひび割れを起こしてしまうことがあります。
外壁を塗装する場合は、有機塗料の伸縮性を活かすことをオススメします。
塗膜のひび割れ
【有機塗料】のメリットとデメリット
<有機塗料のメリット>
①ひび割れに強い
有機塗料の利点として、ある程度の伸縮性があることが挙げられます。
建物は外的要因によって常に少し揺れており、その揺れによって外壁表面にひび割れが発生することがあります。
有機塗料は伸縮性があるため、外壁表面にひびが入っても、一緒に塗膜にまでひびが入るリスクを低くすることができます。
塗装の一番重要な役割である「防水」の機能を果たすため、外壁は有機塗料で施工するのがオススメです。
②価格帯が幅広い
有機塗料は無機塗料と比較して、各塗料メーカーごとにラインナップが豊富です。
その分、様々な価格帯が揃っているため幅広い塗料の選定が可能となっています。
<有機塗料のデメリット>
①紫外線の影響を受けやすい
有機塗料は太陽の紫外線のさらされることで、塗膜の劣化が目立つようになります。
紫外線の光を浴びることで、塗膜の結合が分解され、塗料の構成成分である顔料が表面に浮き出る「チョーキング」現象が発生します。
また、屋根は建物の中で最も紫外線を浴びる場所なので、無機塗料で塗装すれば紫外線の影響を受けにくいという特性を存分に発揮できるでしょう。
②耐火性が低い
有機塗料の主成分は石油・石炭からなる有機物なので、炎に弱いという弱点があります。
隣家の火事の際には、無機塗料と比較して炎が燃え移りやすく、二次災害に繋がる可能性が高くなります。
以上の事から塗料にはそれぞれの利点があり適材適所に使用する事でその性能が発揮されるという事になります。